胎盤が完成する妊娠中期。
この時期に入ると、パートナーとの性行為をしてもいいものなのかどうか、気になるもの。
こういう話って親しい友達にもなかなか聞きにくいものですし、親には絶対に聞けないことですよね。
そこで今回は、妊娠中期の性行為のリスクや性行為にあたっての注意点などを解説します。
性交渉中に出血や痛みが伴う時の対策についてもご紹介していきますね。
ポイントは次の3つです。
- すぐに出血が収まれば大丈夫!
- お腹の張りや出血が続く時は医師に相談!
- 性交痛がある時は潤滑剤つきのコンドームを使用!
妊娠中期の性行為でお悩みの妊婦さんは、ぜひこちらの記事を参考にして、パートナーとのスキンシップを図ってくださいね。
目次
妊娠中期に性行為をしても大丈夫?

大切なパートナーとの愛情を深めるため、妊娠しても性行為などのスキンシップを図りたいものですよね。
しかし、赤ちゃんへの影響が心配という妊婦さんは少なくないはず。
妊娠中期にパートナーと性行為をしても大丈夫なのでしょうか?
そんな疑問について解説します。
流早産のリスクのある方はNG
医師から切迫流早産、また頸管無力症や前置胎盤などの診断が出ていて、流早産や出血のリスクがある妊婦さんは、妊娠中の性行為は避けましょう。
また、お腹の張りや不正出血のため医師から安静にするよう指示が出ている妊婦さんも流早産のリスクがあるので、医師からOKが出るまでは性行為を控えてくださいね。
妊娠中期の性行為で破水など流早産のリスクは?

妊娠中の性行為は流早産のリスクがあるといわれています。
しかし実際どんなリスクがあるのかわからないという妊婦さんも多いでしょう。
そこで、妊娠中の性行為にはどんなリスクがあるのかについて解説します。
精液中には子宮収縮や破水の原因になる物質が
妊娠中の性行為のリスク要因の一つに、「精液中の物質」が挙げられます。
精液の中に多く含まれるプロスタグランジンという物質は、子宮を収縮させる作用とともに子宮頸部の熟化(柔らかく、お産に適した状態にする)作用があります。
(出典元:堀産婦人科)
さらに、精液に含まれる好中球という白血球が、たんぱく質の分解や炎症をひき起こすエラスターゼを生成することで、卵膜が破れやすくなり破水になることもあるんです。
妊娠中は性交時に膣内へ射精すると、流早産のリスクが高まります。
感染症による早産や前期破水のリスクも
早産や前期破水の主な原因といわれているのが「絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)」です。
妊娠すると免疫力が低下することから、膣内の自浄能力も低下します。
そのため、細菌が侵入、繁殖しやすくなります。
お腹の中の赤ちゃんを包む絨毛膜や羊膜に感染が広がると絨毛膜羊膜炎を発症。
子宮頸部が軟化し、前期破水や早産を引き起こすこともあるんです。
絨毛膜羊膜炎が原因で早産になった場合、
新生児の呼吸窮迫症候群が約3倍、周産期死亡率が約4倍に増加するほか、脳性麻痺を発症するリスクも増加するといわれています。
(出典元:公益社団法人日本産科婦人科学会)
妊娠中の性感染症を防ぐことは、赤ちゃんを守ることでもあります。
赤ちゃんを守るためには、性行為の際に必ずコンドームを着用してくださいね。
オキシトシンの分泌で子宮収縮が起こりやすくなる
陰茎(ペニス)の膣内への挿入や出し入れするピストン運動による刺激で、妊婦さんの脳からオキシトシンというホルモンが分泌。
このホルモンは子宮収縮させる作用があるため、早産の原因になる可能性があります。
実は子宮収縮剤として使われているのも、このオキシトシンなのです。
オキシトシンが多量分泌されるとオーガズムに達するといわれていることから、オーガズムに達するまでの性行為も避けた方がいいでしょう。
また、乳首の刺激によってもこのオキシトシンが分泌されるので気をつけてくださいね。
男性上位は前期破水になりやすい
体位は男性上位で他の体位より前期破水の頻度が高まるという報告があります。
(出典元:堀産婦人科)
女性が仰向けになり、男性が上位となる正常位や屈曲位などの体位は、大きくなった子宮が臓器や血管を圧迫するため、妊婦さんは苦しくなります。
そのため、妊娠中期に男性上位の性行為は避けてくださいね。
関連記事⇒妊娠中期に右下腹部痛が!ズキズキ激痛が走る原因と2つの対策
妊娠中期の性行為でどんな点に気をつければいい?4つの注意点

これまで、妊娠中期の性行為のリスクについて解説してきました。
ではパートナーと性行為をする時には、どんな点に気をつければいいのでしょうか?
妊娠中期の性行為における注意点を4つご紹介します。
1.コンドームの着用は必須!
先述のとおり、精液には早産を起こしやすい物質が含まれています。
また、性感染症が重症化して絨毛膜羊膜炎になると、早産になりやすくなります。
こうしたリスクを避けるためには、必ずコンドームを着用した上で性行為を行いましょう。
2.指の挿入もNG
膣内に指を挿入することによって指や爪に付着した細菌が侵入することも考えられます。
妊娠中の感染症を防ぐためにも、膣内への指の挿入は避けましょう。
3.快楽目的ではなくスキンシップ程度で
子宮頸部まで刺激するような激しいピストン運動や乳首への刺激は、子宮収縮をもたらすオキシトシンが分泌されます。
したがって、妊娠中は、乳首の刺激は避け、陰茎の挿入は浅く、ソフトタッチな性行為を心がけましょう。
妊娠中は、赤ちゃんを守るためにも、快楽目的ではなくパートナーとのスキンシップを愉しむ程度にしておいてくださいね。
4.妊婦さんが苦しくない体位で
男性上位の性行為は、前期破水のリスクが高くなる上、妊婦さんも苦しいのでNGです。
陰茎の挿入が深くなる後背位も避けた方が無難です。
最もおすすめの体位は、後側位です。
妊婦さんは身体の左側を下にして横になるシムスの体位を取り、パートナーに後ろから挿入してもらいましょう。
出血や痛い時はどうしたらいい?妊娠中期の性行為3つの対策

妊娠中期になってパートナーと仲良くしたら、そんなに激しい行為をしたつもりはなくても出血してしまったという妊婦さんは少なくありません。
また、性交時に激しい痛みがあったという妊婦さんも。
出血や性交痛があると、赤ちゃんに影響はないのかどうか心配ですよね。
そこで、性行時の出血や痛みがある時の対策を3つご紹介します。
すぐに出血が収まれば大丈夫!
妊娠中は、女性ホルモンのエストロゲンの作用で膣内などの血管が拡張し、充血した状態に。
そのため、性行為の際のちょっとしたピストン運動でも出血しやすくなっています。
性行為後の出血が微量ですぐに収まるようなら心配ないでしょう。
関連記事⇒妊娠中期の出血が止まらない!胎児への影響や流産リスクと3つの対処法
お腹の張りや出血が続く時は医師に相談!
妊娠の経過が順調であれば、妊娠中期の性行為によって流早産するリスクはほとんどありません。
しかし、性交後に鮮血の出血が続いたり、お腹の張りや腹痛がみられる場合は、切迫流早産の可能性があります。
そのような場合は、早急に医師に相談しましょう。
性交痛がある時は潤滑剤つきのコンドームを使用
妊娠中期に性行為をしようと少し挿入しただけで激しい痛みを感じたという妊婦さんもいます。
妊娠中期の性行為では前戯も充分に行うことができないため、膣内の潤いが不足して痛みが発生する可能性があります。
潤滑剤のついたコンドームを使用することで痛みが解消されるでしょう。
それでも痛みがみられたら、膣内に潤滑ゼリーを塗ってから性交してみてくださいね。
まとめ

妊娠中期の性行為は、出産後のセックスレスを防ぐためにも重要です。
もし性行為をする時は、必ずコンドームを着用し、激しいピストン運動は避けましょう。
しかし、切迫流早産や前置胎盤など、医師から安静の指示が出ている方はタブーです!
お腹の赤ちゃんを守るためにも、浅い挿入でパートナーとのスキンシップを楽しむ程度にしておいてくださいね。