化学的流産は4割の受精卵に起こっている?後遺症、影響はある?

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「化学的流産(生化学妊娠)」という言葉を最近聞くようになりました。これは、受精卵が一度着床したものの、子宮内に胎嚢という袋が確認される前に成長が停まってしまい、生理と同じような出血があること。

それって流産と同じなの? 次の妊娠に影響はある? 流産しやすくなったりするの? 赤ちゃんを欲しいと思い始めた人にとって、色んな不安がありますよね。

気になる「化学的流産」のメカニズムと、その後の影響などについてまとめました。

 

化学的流産とは?

「化学的流産」という言葉を初めて聞いた、という人もいるのではないでしょうか。

最近、妊娠判定薬の精度が上がり、早い段階で受診される人が多くなったので、生化学的妊娠と判定される人が多くなったのです。

その頻度は30~40%と非常に高く、何の異常もない若いカップルにも同様に起こることが分かってきています。

以前ならば、生理が少し遅れたな、今回の生理はひどいなと済ませていたものが妊娠判定薬の進歩によって、一度は着床していたということが判るようになったのです。

化学的流産の原因は?

化学的流産の原因のほとんどは、妊娠の超初期に起こる流産と同じで染色体異常です。あまり知られていない事実ですが、染色体異常は受精卵の約45%に起こっている、いわば「ありふれた」現象。

この染色体異常のある受精卵の約半数は着床せずに生理になると言われています。着床したものの、胎嚢が確認される前に発育が止まるのが化学的妊娠、その後の出血が化学的流産なのです。

その後、胎嚢が見えたとしても、染色体異常のある受精卵は早期流産、後期流産、早産などでほとんどが途中で発育が止まり、出産に至るのはわずか0.6%ということです。

なぜ陽性になるの?

受精卵は、子宮の中に着床すると胎嚢のもとになる絨毛という組織を作り始めます。この絨毛からhGCというホルモンが分泌されますが、妊娠前の女性の体内にはhGCは存在しないので、hGCが検出されると妊娠が始まっていると考えられます。

以前は検出されなかった微量のhGCでも妊娠検査薬の精度が上がったことによって、反応し、化学的妊娠の場合でも、妊娠が判るようになりました。

化学的妊娠の場合は、普段と同様か、少し重いくらいの生理が来れば妊娠反応も消えます。ただ、子宮外妊娠の場合には、妊娠反応の陽性が続くことがあるので注意が必要です。

 

化学的妊娠は「妊娠」ではない?

化学的妊娠は、一旦着床しているものの、医学的には妊娠とカウントされていません。

生理と同様の出血が来た後は、医学的な処置も必要ありませんし、3回以上流産を繰り返す「習慣性流産」とも関係ありません。

次の妊娠まで特に期間をあけるなど、注意しなければならないこともありません。

もしかして化学的流産?

妊娠判定薬で「陽性」の反応が出たのに、胎嚢が見えない。そんな場合には、①まだ超初期で胎嚢が見えていない②子宮外妊娠③化学的妊娠の3つの可能性が考えられます。

通常は妊娠4~5週目で胎嚢が見えてきますが、現在の妊娠判定薬はそれ以前に陽性となるのです。

通常、1~2週間後に再度受診するように言われますので、慌てずに1~2週間待ちましょう。それでも胎嚢が見えない場合には化学的妊娠か子宮外妊娠の可能性があります。

化学的妊娠は防げる?

待ちに待った妊娠で「陽性」と出て、喜んでいたのに化学的妊娠(流産)だと分かって、がっかりする方もいるでしょう。

着床したのですから、確かに生命はそこに宿ったのです。その重みはそれを感じた母親にしか分かりません。

でも、受精卵の染色体異常が原因のほとんどですから、化学的流産は防ぎようがありません。同じようなことが何度も起きるのではないか、自分のせいではないかと悩んだり、不安に思うことも多いでしょう。

でも、ある意味でそれは赤ちゃんの寿命、自然淘汰と考えた方がいいのかもしれません。

 

まとめ

以前なら、今回の生理は重いな、遅いなという程度で済ませていたのが、実は「化学的流産」だったということが分かってきました。同時に染色体異常で多くの受精卵が育っていないことも分かってきました。

胎嚢が確認されてからの早期流産とは違い、医学的処置も必要ないため、軽視されがちですが、妊娠を望んでいた女性にすれば、喪失感も大きいですね。パートナーに妊娠を告げていない段階で起こることがほとんどなので、あまり語られる機会も多くありません。

でも、もし小さな命を失った喪失感が大きかったり、次の妊娠に対する不安が生じているならば、一人で抱え込まずに、かかりつけ医やパートナーに相談してみましょう。