妊娠超初期に薬を飲むと流産リスクがある?影響と薬服用5つの注意点

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生理が予定日より遅れて妊娠に気がつき始める妊娠超初期の時期。

薬の服用をしても問題ないのかという疑問、あるいは妊娠発覚前に薬を飲んでしまったという不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

妊娠超初期~妊娠初期は赤ちゃんの体の重要な器官がつくられる時期で、薬の影響を受けやすい時期でもあるので、特に注意が必要です。

今回は、妊娠超初期の薬の服用についてまとめています。

どんな薬がどう赤ちゃんに影響を与えるのか、薬を服用する際の注意すべき点は何か、などについて、以下3つのポイントに沿ってお伝えします。

  • 妊娠超初期の薬の服用が赤ちゃんに与える影響
  • 妊娠超初期に飲むと危険な薬と、飲んでも良い薬
  • 妊娠超初期の薬の服用5つの注意点

大切なお腹の赤ちゃんを守るためにも、妊娠中の薬の服用に関する正しい知識を身につけ、母子ともに健康な生活を送りましょう。

妊娠超初期は特に注意!薬の服用で起こりうる赤ちゃんへの影響について

妊娠超初期は体がだるくなったり、微熱っぽくなったりと、風邪と間違いやすい症状が出るため、妊娠と気がつかずに風邪薬を飲んでしまう人もいるでしょう。

実は、多くの人が妊娠に気がつき始める妊娠超初期~妊娠初期(妊娠2ヶ月頃)は、赤ちゃんの脳や神経など体の重要な器官を形成している真っ只中の時期です。

薬の影響を最も受けやすい「絶対過敏期」とも言われています。

万が一、この時期に薬を飲んでしまうと、赤ちゃんにどのような影響が考えられるのでしょうか。

一般的な風邪薬や鎮痛剤を一時的に飲むだけなら、赤ちゃんへの影響の心配は少ない

妊娠超初期の時期には、着床がしっかり完了していないこともあり、一般的な風邪薬や鎮痛剤などを数日間飲んでしまったくらいでは、お腹の赤ちゃんに影響があることはめったにないとされています。

したがって、薬を飲んでしまった後に妊娠発覚したからと言っても、過度に心配をする必要はないでしょう。

ただし一般的な風邪薬や鎮痛剤でも、妊娠後期に入ると絶対服用NGのものもあります。

また、妊娠超初期~初期であっても、数週間継続して飲み続けるなど大量に飲むことで、お腹の赤ちゃんに良くない成分が反応してしまう場合もあります。

妊娠に気がついた時点ですぐに薬の服用は中止し、飲んでも良い薬かどうか医師や薬剤師に判断を仰ぐようにしましょう。

妊娠超初期の薬の服用によって起こりうる赤ちゃんへの影響は、具体的にどんなものがあるか

薬の成分によっては、お腹の赤ちゃんに「催奇形性(さいきけいせい)」や、「胎児毒性(たいじどくせい)」の影響を与えるものがあるとされています。

「催奇形性」とは、胎児に奇形が起こる危険性のことを言います。

妊娠2ヶ月(妊娠5週~7週頃)は、中枢神経や心臓、手足や目や鼻など、赤ちゃんの主要器官を形成する時期にあたります。

この時期に赤ちゃんに影響を与える成分が含まれる薬を飲むと、胎児に形態異常が起きる場合があります。

「胎児毒性」とは、薬の作用が胎児に強く反応してしまい、胎児の発育や機能に悪い影響を与えてしまうことを言います。

その影響は薬の成分によりますが、精神発達の遅延や染色体異常、食道閉鎖などさまざまな事例があります。

また、妊娠初期に一部の鎮痛剤などに含まれる成分を1週間以上連続して服用することで、「流産」のリスクを増加させる可能性があることも報告されています。

妊娠初期の流産は、ママの行動で防ぐことができるものではなく、胎児の染色体異常など胎児側の原因が主と言われています。

過度な薬の服用は、胎児への悪影響も考えられるため、妊娠初期の薬の服用にはやはり、いつも以上に慎重になる必要があります。

参考

あいち小児保健医療総合センター / 妊娠・授乳と薬相談Q&A集

妊娠超初期に飲むと危険な薬と、飲んでも良い薬について

妊娠中の薬の服用は、赤ちゃんへの影響も考えて注意が必要ということですが、具体的にどのような成分を含む薬が危険で、どのような成分の薬なら飲んでも安全なのでしょうか。

以下に、妊娠中に飲むと危険な薬と、飲んでも良い薬の一覧を示します。

ただし、いざ飲もうとした薬が本当に危険な成分がなく安全かどうか、自分で判断するのはなかなか難しいと言えます。

以下を参考にしつつも、妊娠中に薬を飲む場合は必ず自己判断ではなく、医師や薬剤師に問題がないか確認をとるようにしてください。

妊娠超初期~妊娠初期に飲むと危険な薬(催奇形性や胎児毒性の可能性がある薬)

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名称(薬の一般名) 薬効(何に効く薬か)
カルバマゼピン、 トリメタジオン、フ ェニトイン、プリミ ドン、バルプロ酸 ナトリウム、フェノ バルビタール 抗てんかん薬
エトレチナート 乾癬・角化症治 療薬
ビタミン A ビタミン A
コルヒチン 痛風発作予防薬
メトトレキサート 抗リウマチ薬・白 血病治療薬
アザチオプリン 免疫抑制薬
サリドマイド、レナ リドミド水和物 多発性骨髄腫治 療薬
ダナゾール 子宮内膜治療薬
チアマゾール 抗甲状腺薬
黄体ホルモン・卵 胞ホルモン合剤 女性ホルモン
炭酸リチウム 躁病治療薬
アミノグリコシド系 抗菌薬
リバビリン C 型肝炎治療薬
エファビレンツ 抗 HIV 薬
ワルファリンカリウ ム 抗凝固薬
ミソプロストール 消化性潰瘍治療 薬

引用元

社団法人 愛知県薬剤師会 妊婦・授乳婦医薬品適正使用推進研究班 発行 /「妊娠・授乳と薬」 対応基本手引き(改訂 2 版) 2012 年 12 月改訂 / Ⅰ妊娠と薬 / 3.胎児への薬剤の影響 / 3)薬自体の特徴 表1「催奇形性および胎児毒性のある主な薬剤」

※上の一覧は、妊娠初期段階で危険な薬の例です。

妊娠中期、妊娠後期には上記とは別で危険な薬があります。

妊娠超初期~妊娠初期に飲んでも安全な薬

名称(薬の一般名) 薬効(何に効く薬か)
アセトアミノフェン 解熱鎮痛消炎薬
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、ジメモルファンリン酸 塩、ベンプロペリンリン酸塩、ペントキシベリンクエン酸塩 鎮咳薬
ブロムヘキシン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩 去痰薬
第一世代:クロルフェニラミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸 塩、ヒドロキシジン 第二世代:ロラタジン、セチリジン塩酸塩、フェキソフェナジン塩酸 塩など 抗ヒスタミン薬
クロモグリク酸ナトリウム 抗アレルギー薬
サルブタモール硫酸塩、テルブタリン硫酸塩、クレンブテロール塩酸 塩、テオフィリン、イソプレナリン塩酸塩 気管支拡張薬
ロペラミド塩酸塩、乳酸菌 止瀉薬、整腸薬
ペニシリン系、セフェム系、マクロライド系、リンコマイシン系(添 付文書には投与しないことが望ましいと記載) 抗菌薬
インフルエンザワクチン ワクチン
香蘇散、参蘇飲、麦門冬湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、 小青竜湯(麻黄含有、長期不可)、葛根湯(麻黄含有、長期不可) 漢方薬

引用元

社団法人 愛知県薬剤師会 妊婦・授乳婦医薬品適正使用推進研究班 発行 /「妊娠・授乳と薬」 対応基本手引き(改訂 2 版) 2012 年 12 月改訂 / Ⅰ妊娠と薬 / 3.胎児への薬剤の影響 / 3)薬自体の特徴 表2「かぜ症候群で妊娠中の女性に使用が可能な医薬品の例 」

例えば、風邪薬として一般的な「バファリン」や「イブ」などには、種類にもよりますが、イブプロフェンやアセトアミノフェン、アスピリンが含まれています。

これらの成分は妊娠初期には比較的安全に服用をすることができます。

ただし、妊娠後期になると、上の表にもあるアセトアミノフェン以外の、イブプロフェンやアスピリンは、新生児に影響が起こる可能性が知らされています。

このように妊娠時期によっても薬の危険性は異なるということです。

関連記事⇒妊婦はロキソニンを飲んでも良いの?妊娠中のロキソニン胎児への影響と流産リスク

妊娠超初期の薬服用5つの注意点 ~ 妊娠中に薬を飲みたいときはどうすれば良いの?~

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妊娠に気がついたからとは言え、体調が悪い場合や、もともと持病の治療で薬を飲んでいた場合など、薬の服用を検討する場面はあるでしょう。

妊娠中に薬を飲みたいとき、薬が必要な症状が現れたときはどうすれば良いのでしょうか。

妊娠中の薬の服用で注意すべき点を5つお伝えします。

1. 薬を飲む前に必ず医師や薬剤師に相談する。

妊娠に気がついたら、とにかく自己判断での薬の服用は中止してください。

痛みが辛くて、痛み止めが飲みたい!と思っても、まずは必ず医師や薬剤師に相談することが最も大切です。

妊娠中に飲むことができる薬は、妊娠の初期、中期、後期と段階によっても異なりますので、自分で判断するのは大変難しいです。

また、「薬を飲んでしまったけど大丈夫かな?」と不安やストレスを感じながら過ごすのは、ママ自身やお腹の赤ちゃんにとっても良くありません。

必ずどんな薬であっても、事前に医師や薬剤師に確認をしてから飲むようにしましょう。

2. 持病の治療で薬を飲んでいる場合は、できれば妊娠前に相談しておく。

持病の治療のために、妊娠前から継続して飲んでいる薬がある方もいると思います。

この場合も、妊娠に気がついた時点でまずは服用を中止し、すぐに医師に相談をすると良いでしょう。

ただし、服用をいったん中止することで持病の悪化につながるという方もいるかもしれません。

よって持病のある方は、できれば妊娠前から、妊娠が発覚した場合の対応を医師に相談しておくと良いでしょう。

相談をしておくことで、妊娠がわかり次第、別の薬に切り替える指示をもらえたり、妊娠を希望しているのであれば、あらかじめ胎児に影響のない薬での治療に変更をしてもらうなど、安全な対応策をとることができます。

3. 漢方薬、サプリメント、栄養ドリンクの服用も注意する。

漢方薬と言うと、風邪薬などと違って体にやさしいイメージがあるかもしれませんが、種類によっては強い成分や、赤ちゃんに影響を及ぼす成分が含まれているものもあります。

ビタミン剤などのサプリメントや栄養ドリンクについても同じです。

例えば胎児奇形の原因になりうるビタミンAなど、妊娠中の摂取に注意すべき成分が含まれているものもあります。

風邪薬などを飲むときと同様に、妊娠中に服用しても問題がないか、医師や薬剤師に確認をとるようにしましょう。

また1日の摂取量を超えないよう飲みすぎにも注意してください。

4. すぐに薬に頼らず、十分な休息や規則正しい生活で体調回復をはかる。

妊娠すると、妊娠初期に限らず、妊娠後期や出産後の授乳期間まで、薬の服用に注意して過ごす時期が続きます。

そのため、先のことを考えても、少しの体調不良で薬に頼って治療するのではなく、できるだけ薬なしで自己回復ができるように努めると良いでしょう。

妊娠中はいつも以上にバランスの良い食生活、十分な休息など規則正しい生活を心がけて、体調管理には気をつけるようにしましょう。

5. 症状がつらいときは無理をせずに医師に相談し、安全な薬を処方してもらう。

妊娠中に薬を飲みたくないからと言って、つらい症状でも無理をして薬を飲まずに症状を悪化させることのないようにしましょう。

薬は控えたほうが良いとは言え、妊娠中に無理をすることは禁物です。

例えば高熱が続いていたり、咳が止まらない場合は、子宮の収縮により胎児の発育に悪影響を及ぼす可能性もあります。

風邪、頭痛、便秘などよくある症状でも、なかなか治らず症状がつらい場合は、医師に相談をして妊娠中でも安全な薬を処方してもらうようにしましょう。

参考

一般社団法人くすりの適正使用協議会「妊娠・授乳とくすり」

妊娠中のくすりの服用は必ず医師に相談!お腹の赤ちゃんへの影響を防ごう

妊娠中の薬は、赤ちゃんに悪影響を及ぼす成分が含まれている可能性もあるため、自己判断で服用するのは大変危険です。

特に妊娠超初期~妊娠初期にあたる妊娠2ヶ月の時期は、胎児の脳や神経、手足など重要な器官を作っている時期であるため、薬の影響を受けやすくなっています。

お腹の赤ちゃんを守るためにも、なるべく薬のいらない健康的な生活を心がけ、薬が必要な場合は必ず事前に医師や薬剤師に相談して、安全を確かめてから服用するようにしましょう。