小規模保育園とは~働きやすいと言われる保育士と親のメリット・デメリット

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待機児童対策として打ち出されている対策のひとつに「小規模保育園」というものがあります。

「普通の保育園とどう違うの?」「保育士さんが楽って本当?」など、疑問をお持ちの方もいますよね。

この記事では、小規模保育園について次のような項目でまとめました。

・小規模保育園の定義や種類
・保育士側のメリット、デメリット
・親側のメリット、デメリット
・保育料は自治体が決定する
・「規模が小さい保育園」は小規模保育園ではない

保育園の種類がいろいろ増えてきて分かりにくくなっていますが、ひとつずつ詳細を見ていきましょう。

小規模保育園の定義

小規模保育園というのは、市町村や民間事業者がマンションの部屋や一般住居、その他の施設で運営する0~2歳児を預かる保育園で、園児の定員が6~19人のものをいいます。

待機児童対策として打ち出された地域型保育事業のひとつで、国が定めている基準をクリアしています。

地域型保育事業とは、小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育の四つの保育事業のこと。

以前からある、認可保育園や認証保育園とは別物です。

【参考】子ども・子育て支援新制度ハンドブック 平成27年7月改訂版(施設・事業者向け)|内閣府・文部科学省・厚生労働省

今は共働き世帯が増えて保育園に入れない子どもが増えています。

特に、保育士一人当たりが担当できる園児数が少ない0~2歳児を預かる保育園が足りず、社会問題になっていますね。

できる限り早く問題を解決するために設置されたのが0~2歳児を預かる小規模保育園。

認可の基準が通常の認可保育園より緩いため、事業者が参入しやすく、急速に数を増やしています。

小規模保育園は3種類ある

小規模保育園は、A型・B型・C型の3種類あります。

違いはクリアしている基準。

A型は従来の認可保育園に近い基準をクリアしたタイプ、C型は個人や異業種からでも新規参入もしやすいように設けられた緩い基準をクリアしたタイプ、その中間がB型になります。

具体的な違いを表にまとめたので参考にしてください。

【引用元】子ども・子育て支援新制度ハンドブック 平成27年7月改訂版(施設・事業者向け)|内閣府・文部科学省・厚生労働省

A型とB型は、クリアすべき基準が比較的保育園に近く、職員の数を見ると通常の保育園よりも多いのが特徴です。

一方で、最近、増えているのがC型。

保育士を雇う必要がなく、職員の数もA型やB型よりも少ないので、開設しやすいメリットがあります。

お住まいの地域の小規模保育園がどのタイプか確認してから、利用を検討するといいですね。

保育士が感じるメリットとデメリット

では、まず保育士が感じるメリット・デメリットを紹介します。

メリット

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肉体的にも精神的にも負担が大きく給料も安い大変な仕事と言われる保育士ですが、小規模保育園は保育士にとってメリットが大きいと言われています。

・園児の数が少ないので保育の負担が少ない
・イベントや課題が少なく、保育以外の仕事が少ない
・施設が狭いので、隅々まで目が行き届く
・園児一人一人との距離が近く、きめ細やかなケアができる
・保護者や園児の顔をすぐに覚えられ、親密な仲を築きやすい
・静かに落ち着いた環境の中で保育ができる

保育士さんが、落ち着いた環境で心に余裕を持って働ける環境というのは魅力ですよね。

アットホームな雰囲気の中で、親密な関係を築きながら保育したい!という方には小規模保育園が向いています。

デメリット

小規模保育園は、保育士さんにとってデメリットもあります。

・乳児をケアするため、保育や安全に関する深い知識と経験が必要
・園長や親、園児との人間関係が深くなるため、合わない人がいた場合は悩みが深くなる
・親から期待される「きめ細やかな保育」が負担になることがある
・発達に特徴があったり、アレルギーなどの特別なケアが必要な子どもを預かる可能性がある
・大きなクラスを受け持ち、引率するという経験は身に付かない
・職員が少ないので休みが取りにくいことがある
・個人の繋がりが濃密になるため、病気がうつりやすい
・職員の数が少ないので、職場に保育について相談できる先輩がいない可能性がある
・職員のスキルが保育園の評価に直結する可能性が高い

規模が小さく、きめ細やかなケアができる、というメリットがそのままデメリットに繋がることも。

また、施設が狭いので、インフルエンザやウイルス性胃腸炎といった感染力が強い病気が発生した場合、隔離して看護することが難しく、施設の中で感染が広がるリスクもあります。

親が感じるメリットとデメリット

今度は、預ける親側のメリットとデメリットを紹介します。

メリット

親が感じるメリットは次のようなものがあります。

・A型やB型は保育園より保育士の数が多く、きめ細やかなケアを期待できる
・アットホームな雰囲気の中で保育してもらえる
・保育士との距離が近く、親密な関係を築ける
・行事や与えられる課題が少ないので、苦手なことが多い子でも心身の負担が軽い
・保育士に余裕があるので、事故等の不安が少ない

家庭と似た雰囲気の中で、子どもの個性を大切にしながら保育してくれる環境を期待する親御さんには、小規模保育園が合っていると言えます。

特に、日常的に個別ケアが必要な子の場合は、小規模保育園の方が安心して過ごせる可能性が高いですね。

デメリット

良いところが多いように思える小規模保育園ですが、デメリットもあります。

・3歳で再び保活が必要
・園児が少ないので、友達が少ない
・年上の子を見ながら学ぶ機会がない
・園庭がない園が多く、外遊びやプールの経験が少ない
・保育士や他の子と合わない場合は、通うのが苦痛になる。
・行事が少ないので、経験できることが少ない
・兄や姉がいる場合、同じ園に預けられないので送迎や行事が大変

最も大きな不安は3歳からの預け先ですよね。

小規模保育園は提携している保育園があり、自治体も優先的に入園させてくれるので3歳から通える保育園がなくなることはまず、ありません。

しかし100%大丈夫!と言えないので不安がありますね。

そして、どうしても施設の充実度や地域との繋がりの面から認可保育園に及ばない点が出てきます。

例として筆者が子どもを預けている規模の大きな認可保育園の特徴を紹介します。

筆者の子は、50人以上の園児が同時に遊べる園庭がある認可保育園に通っています。

20人以上のクラスメイトと毎日遊び、年下のクラスの子の世話をする時間があり、プール・泥んこ遊び・体操教室・遠足・運動会・畑で野菜作り・芋掘り・ミカン狩り・イチゴ狩り・稲刈り体験・給食作りの手伝い・発表会・交通安全教室などの行事が1・2歳児クラスからあります。

小規模保育園ではこうした行事を経験するのは難しいことも。

必要性を感じない方もいるでしょうが、デメリットのひとつとしてあげられます。

※筆者の下の子は多くの友達と外で元気に動き回るのが大好きです。

しかし、上の子は発達に特徴があり、一人で静かにお絵かきや楽器の演奏をする方が好き。

子どものタイプによってメリット・デメリットも違ってくるので、よく検討してみてくださいね。

小規模保育園の保育料は自治体が決める

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子どもを預ける際、気になるのが保育料。

小規模保育園の保育料は自治体が決めます。

保育料は、世帯収入によって負担額が決まりますので、具体的な料金は自治体に問い合わせましょう。

具体的には、市民税の負担額によって保育料が異なります。

年に一度、自治体から通知される市民税の負担額を確認し、自治体が公開している料金表と比べてみてください。

生活保護世帯は保育料は0円ですが、下は3,000円くらいから上は70,000円くらいまで幅広い金額が設定されています。

0~2歳児は、3~5歳児の約2倍の保育料になっていることが多いですね。

0~2歳のうちは、場合によっては認可外保育園と大差ない場合も。

このため、小規模保育園は希望せず、認可外保育園に預けて認可保育園に転園できるのを待つ方も居ます(認可外に預けて仕事に復帰していると、加点がもらえて認可保育園に入りやすくなる自治体もあるため)。

料金と加点の保育園入園のための加点方法を確認した上で、小規模保育園を利用するかどうか決めるのもいいですよ。

注意したい小規模の保育園

ひとつ、注意が必要なのは、単に園児の人数が少ないだけの「規模が小さい保育園」があること。

紹介してきた小規模保育園は、国が定めた基準をクリアしていると認められた保育園です。

クリアした基準によってA型、B型、C型に分けられます。

しかし、いわゆる認可外の保育園はこうした基準について認定を受けていません。

基準をクリアしていない規模の小さい保育園もあるんですよ。

小規模保育園と規模が小さい(認可外)保育園は全くの別物!

認可外の規模が小さい保育園の場合は、園長がOKと言えば就学前まで預けられます。

小規模保育園とは違いますので、注意してくださいね。

まとめ

小規模保育園は、0~2歳児だけを預かる保育園で、園児の数も6~19人と少ないのが特徴です。

待機児童対策として設置された保育園で、国が新たに定めた基準のどれをクリアしているかによって3種類に分けられます。

アットホームな雰囲気の中で、きめ細やかな保育を期待できる特徴があり、勤める保育士も心身共に余裕があるメリットが。

しかし経験できることが少なかったり、専門的なスキルが必要とされたり、深くなる人間関係が負担になるデメリットも。

費用の面では0~2歳児の場合は認可外保育園と大差ないケースもあって、3歳で再び保活が必要なリスクを負う小規模保育園のメリットが薄い方がいるのも確か。

どういう園でどういう経験をしたいのか。これを十分に考えて小規模保育園を選ぶかどうか、決めてくださいね。