妊娠初期のレントゲンは大丈夫じゃない?胎児への4つの影響と撮影箇所別の注意点

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会社の健康診断の時期にエックス線の撮影をすることがありますね。

あるいは体調不良や怪我をして病院を受診したり。

そういったときに「妊娠してるかもしれないのに、レントゲンを撮っても大丈夫?」と不安になるかもしれません。

または『妊娠超初期に気づかずすでにレントゲンを撮ってしまった!』という方も。

そんな時に心配になるのがお腹の赤ちゃんへの影響です。

レントゲンは妊娠中は避けるべきものとされていますが、具体的にはどういった影響などがあるのでしょうか?

今回は妊娠初期のレントゲンについてお伝えします。

  • 日常生活における放射線と放射線量の限度
  • 放射線による胎児への4つの影響
  • 部位別レントゲン撮影の胎児への放射線量
  • 妊娠中にレントゲンを避けた方がいい理由2つ

妊娠初期の放射線はどの程度からお腹の赤ちゃんに影響があるのか、レントゲン撮影の部分によってどのくらい被ばく量が違うのかなど、レントゲン撮影時の放射線量を知ることで不安を解消しましょう。

日常生活における放射線

普段生活していても、私たちは放射線を浴びています。

これは自然界に元々あるもので、環境放射線といいます。

日本では年間1.5mSv(ミリシーベルト)を私たちはただ生活するだけで浴びているのです。

放射線量の限度

放射線の被曝限度は年間1m Sv未満までとされています。

緊急時のみ20mSv~100mSvなど、緊急時には細かに規定があります。

とはいえ私たちの日常生活においては1mSv未満であり、通常生活している限りでは、年間被ばく限度を超えることはありません。

放射線を浴びるとどうなるのか?

では放射線を浴びると体にはどんな影響があるのでしょうか?

放射線を浴びると、体内の細胞が傷付きます。

少量の放射線を浴びた程度では、細胞が傷ついたとしても細胞自身がもつ修復する力を持っているため、特には問題になりません。

ですが、大量に浴びると修復する力以上に傷ついてしまうのです。

細胞の中にはDNAがあります。

このDNAが傷つくと細胞が死ぬことや、脂肪分裂が上手く行かなくなり、突然変異などを引き起こすのです。

放射線による胎児への4つの影響

放射線を大量に浴びると胎児への影響があります。

もちろん、胎児の成長過程によって影響の程度は異なります。

放射線を浴びた時に吸収される量をGyという単位で表します。

1Gy=1Sv=1000mSvになります。

妊娠初期では以下の時期ごとに影響が異なります。

  1. 受精後約9日間
  2. 受精後約2~8週間
  3. 受精後8週以降
  4. 以降

①受精後約9日間では0.05~0.1Gyで胎児が死亡するとされています。

いわゆる着床前の受精卵の状態になります。

受精卵の時に上記の放射線量を浴びると、着床することができないと思ってよいでしょう。

②受精後約2~8週間、生理周期が28日の方で、妊娠4週~10週ごろになります。

この時期は受精卵の細胞分裂が活発なときで、体の臓器を形成する重要な時期。

薬の服用などの影響も受けやすく、絶対過敏期と呼ばれます。

0.1Gyで胎児に奇形を及ぼす可能性があります。

また0.12~0.2Gyで精神発達遅滞が起きる可能性も。

この時期に100mSv以上の放射線を浴びると、奇形や精神発達遅延が確定的に生じるとされています。

③受精後8週以降、特に妊娠2カ月以降では胎児の分化がほとんど終わっているために、奇形は発生しにくいとされています。

ですが奇形発生の可能性は0%ではありません。

またこの時期は神経系が発達する時期の為、神経細胞がダメージを受けると知能障害や発達障害が起きる可能性があります。

④③以降では、特に心配はないとされているものの、成長後に小児白血病やがんを誘発する可能性があるとされています。

ただ、これに関してはデータが少なく、どの程度の放射線量を浴びると影響が生じるのかは、はっきりしていません。

妊娠初期は50mSv未満の被ばく量であれば特に心配する必要はないと考えられます。

どのくらいの量かというと、X線単純撮影で約5000枚分。

これほどの量を撮る人はいないですね。

また日本産婦人科医会では、100mGy以下の被ばく量であれば胎児への影響はほとんどないと考えて良いとしています。

参考記事⇒放射線被爆と先天異常

つまり、妊娠超初期で妊娠に気づかずレントゲンを受けたとしても影響はないといえるでしょう。

部位別レントゲン撮影の胎児への放射線量

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妊娠時期によって胎児への影響が変わってくることはわかりました。

では通常医療で使用しているレントゲンではどの程度の放射線をあびることになるのでしょうか?

部位別にどの程度の放射線量をお腹の赤ちゃんは浴びていることになるのかみていきましょう。

①腰をレントゲン撮影した場合

腰椎のレントゲン撮影での胎児の被ばく量は平均で1.7mGy、最大量で10mGyです。

また腰に近い腹部での胎児の被ばく量の平均は1.4mGy、最大量が4.2mGyです。

骨盤部分では1.1mGy、最大が4mGyです。

②足をレントゲン撮影した場合

足についての被曝は非常に少ないとされ、問題はないとされているようです。

③顔をレントゲン撮影した場合

胎児への被ばく平均量が0.01mGy以下、最大量も0.01mGy以下です。

顔に近い胸部でも同様の数値です。

腹部から離れるにつれて、胎児の被ばく量も減少していきます。

またレントゲン撮影では、被ばく量の最大量が10mGy。

胎児奇形に影響するのは50mSvより多い時です。

医療でレントゲン撮影をする程度でしたら問題はないでしょう。

妊娠中のレントゲン撮影が避けた方がいい理由2つ

妊娠中にレントゲン撮影をしても、通常の医療行為であればお腹の赤ちゃんには特に影響を及ぼす可能性はありません。

ではなぜレントゲン撮影時には妊娠している可能性の有無や、妊娠中ではないかを確認するのでしょうか?

①妊娠中のレントゲンは特に問題はないが可能性0%とは言い切れないから

②出生後の白血病やがんの誘発性などに関しては定かではないから

この上記の2つが理由として挙げられます。

こういったことから、妊娠中のレントゲンは受けない方が良いのは確かです。

ですが重篤な病気があるなどといった場合には適宜使用すべきでもあります。

鉛でできたプロテクターをお腹に巻いて撮影することもできますので、必要な場合は医師に相談してみましょう。

まとめ

妊娠初期のレントゲン撮影は通常の医療としての使用であれば胎児への影響は特に問題ありません。

会社の健康診断などで胸部のエックス線撮影などを行っても大丈夫です。

よって、妊娠に気付かずにレントゲンを撮影してしまったと心配になるかと思いますが、不安に思う必要はありません。

ですが、妊娠が分かっている、あるいは妊娠してるかも?という可能性があるのであれば、レントゲン撮影は出来る限り避けた方が良いでしょう。

とはいえ重篤な病気があるなど健康上の理由において必要な場合は、医師と相談して適宜レントゲン撮影を行いましょう。