赤ちゃんの塩分摂りすぎは死亡リスクあり?乳児の塩分目安量と3つの注意点

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赤ちゃんが離乳食を始める時期になると、味付けの基本である「塩分」の量について、悩むママも多いのではないでしょうか。

「赤ちゃんに塩分はあまり良くなさそう…」

「だけどあまり薄味だとおいしく食べてくれないのでは?」

など、塩分の適切な量について迷ってしまいますよね。

赤ちゃんの塩分の摂りすぎは、赤ちゃんの命の危険につながることもあります。

正しい塩分摂取の目安量を知り、赤ちゃんの健康を守るために、今回紹介する以下3つのポイントを是非参考にしてみてください。

  • 赤ちゃんの1日の塩分摂取量の目安
  • 赤ちゃんの塩分摂りすぎによる危険について
  • 赤ちゃんの塩分摂取での3つの注意点

赤ちゃんに与えて良い塩分はどのくらい?赤ちゃんの1日の塩分摂取目安量について

赤ちゃんにはそもそも、1日にどのくらいの塩分を与えて良いのでしょうか。

厚生労働省が発表する日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、以下のように示されています。

ナトリウムの食事摂取基準 【 mg/日、( )カッコ内は食塩相当量に置き換えたときの量 [g/日] 】

性別 男性 女性
年齢 目安量 目標量 目安量 目標量
0~5ヶ月 100(0.3) 100(0.3)
6~11ヶ月 600(1.5) 600(1.5)
1~2歳 (3.0未満) (3.5未満)
3~5歳 (4.0未満) (4.5未満)

引用

厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要

上の表で乳児の部分を見ると、男女ともに新生児~生後5ヶ月の赤ちゃんの1日の食塩摂取目安量は0.3g、6ヶ月~1歳未満では1.5gです。

食塩の小さじ1杯の量がおおよそ5~6gですので、赤ちゃんの摂取目安量は小さじ1杯よりもはるかに少ない量だということがわかります。

大人と同じ食事をすると、あっという間に目安量を超えてしまうでしょう。

この目安量を参考に、ママやパパは赤ちゃんが塩分過多にならないように気をつけてあげる必要があります。

赤ちゃんの塩分摂りすぎは危険で死亡例もある!塩分過多の症状や対処法は?

通常、体に入った余分な塩分は、腎臓の機能により尿と一緒に体の外に排出されます。

しかし、赤ちゃんはこの腎臓の機能が未熟なため、塩分が濃いものを食べると腎臓に負担がかかるばかりでなく、正常に塩分が排出されず、体内に水が溜まりやすくなることで死に至る可能性があるのです。この状態を「塩分中毒」と言います。

実際に2017年の夏、盛岡市の保育施設で1歳児が塩分中毒で死亡してしまった悲しい事件が起きています。

原因は、幼児の具合が悪そうだったので、保育者が塩分補給をさせようと水に食塩を混ぜたものを飲ませたところ、塩分中毒に陥り死亡してしまったということです。

塩分過多の症状と対処法

塩分を摂りすぎて塩分中毒になってしまった子どもにある症状としては、「咽喉の渇き」、「嘔吐」、「下痢」、深刻な場合は「発作」や「昏睡」に陥る場合もあります。

赤ちゃんに塩分を与えすぎてしまったり、赤ちゃんが誤って食塩を大量に口に入れるなどしてしまった場合の対処法としては、まず水をたくさん飲ませることで体のナトリウム濃度を下げ、すぐに病院を受診すると良いでしょう。

ただし赤ちゃんの場合、ママやパパの知らないところで塩分を摂りすぎてしまって喉の渇きの症状が出ていたとしても、自分の意思で水分補給をすることができません。

よって塩分中毒に陥るリスクがより高くなってしまうということです。

参考

朝日新聞DIGITAL 『食塩中毒死の1歳児「背中に塩の結晶」 両親の弁護士

朝日新聞DIGITAL 『乳児、夏場の塩分補給どれだけ必要? 中毒死事件』

Yahoo!Japanニュース 『乳児が危険?食塩中毒の実態は

赤ちゃんの塩分補給はここに注意!赤ちゃんの塩分摂取に関する3つの注意点

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赤ちゃんの1日の塩分摂取目安量は大人と比べてとても少なく、塩分を摂りすぎることは塩分中毒や死亡のリスクがあります。

赤ちゃんが塩分を摂りすぎることがないように、赤ちゃんの塩分摂取について注意すべきポイントを3つ紹介します。

離乳食は薄味が基本!塩分量はそれぞれの食事の0.5%以下にする。

塩分の摂りすぎを防ぐためにも、離乳食は薄味で作ることを基本としましょう。

離乳食に適した「薄味」というのは、塩分量についてはそれぞれの食事の0.5%以下になるくらいと言われています。

どの程度の塩味なのかを知るために、0.3~0.4%の濃度の食塩水を作って飲んでみるのも良いでしょう。

大人にしては思ったよりも薄味で、驚くかもしれません。

また、薄味にすることは、塩分の摂りすぎ以外にも、赤ちゃんの味覚を正常に発達させるためにも重要です。

赤ちゃんのうちから味付けの濃いものばかりを食べていると、味覚が鈍感になってしまい濃い味しか認識できなくなってしまうと言われています。

離乳食スタート前の赤ちゃんには、あえて塩分を与える必要はない。

離乳食を始める前の赤ちゃんは、まったく塩分を摂取していないけど塩分不足にならないの?と心配に思う方もいるかもしれません。

離乳食開始以前の赤ちゃんは、母乳・ミルクから必要な栄養素を摂取することができますので、塩分をあえて与える必要はありません。

なお、母乳中にも塩分が含まれており、厚生労働省の発表する0~5ヶ月の赤ちゃんへのナトリウムの摂取目安量は、母乳中に含まれるナトリウム濃度を参考に算出されていますので、それ以上の塩分は必要がないということです。

熱中症の予防はこまめな水分補給で対応する。

よく、熱中症を防ぐためには、水分とあわせて塩分補給も必要と言います。

確かに汗を大量にかくと、体内の水分と一緒に塩分も奪われてしまい、体の塩分濃度が低くなることで熱中症の症状が発症します。

しかし赤ちゃんの場合は、1日の食塩摂取目安量が非常に少なく、また大量の塩分を処理する腎機能が発達していないため、安易な塩分補給は危険になります。

熱中症の予防のためには、塩分のない通常の水分補給をこまめに行うことで対応しましょう。

なお、熱中症や脱水症状のときに良いと言われる飲み物として「経口補水液」があります。

経口補水液は、塩分やブドウ糖が含まれており、脱水時の水や電解質の補給に適しています。

薬局などでも購入することができますが、子どもに飲ませることのできる量は限られており、医師や薬剤師の指導に従って飲むことが推奨されている飲み物です。

経口補水液を赤ちゃんに対して自己判断で使用するのはやめるようにしましょう。

参考

社会福祉法人 全国社会福祉協議会発行『改定3版・保育士要請講座 第6巻 小児栄養』, p124

厚生労働省 健康局総務課資料 『1-7 ミネラル (1)多量ミネラル ①ナトリウム 2-3.目安量の設定方法』

医療法人五星会 菊名記念病院 『経口補水液について -おくすりの話 vol12-』

赤ちゃんに与える塩分は少量、離乳食は薄味にして赤ちゃんの健康を守ろう!

赤ちゃんの体は大量の塩分を処理する力がないため、塩分を摂りすぎると中毒症状を起こし、場合によっては死に至ることもあるので注意が必要です。

離乳食を始める前の赤ちゃんは、母乳やミルクからの栄養のみで、必要な栄養素を満たすことができています。

離乳食をスタートした赤ちゃんは、塩分量を0.5g以下とごく薄味の離乳食を与えることが大切です。

離乳食の内容に気をつけることで、赤ちゃんの塩分の過剰摂取を防ぎ、日々の赤ちゃんの健康を維持してあげましょう。