赤ちゃんと犬は一緒に生活して大丈夫?危険性や影響と7つの注意点

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赤ちゃんのいる家庭で、犬をペットに飼っている家庭もあると思いますが、赤ちゃんとペットの犬は一緒に過ごしても大丈夫なのかと不安に思ったことはないでしょうか。

犬を飼っている家庭にとって、犬はきっと大切な家族の一員でしょう。

ですが、『犬と一緒に赤ちゃんが生活してリスクはないの?』

『犬とはいつから生活をしていいの?』

このように、犬と赤ちゃんの同居について悩む家庭も少なくはありません。

何とかして安全に、赤ちゃんと犬を過ごさせてあげたいと考えるのではないでしょうか。

そこで今回は以下の通り、赤ちゃんと犬が同居するにあたって考えられる危険や、気をつけるべきことについて詳しく紹介します。

  • 赤ちゃんと犬の同居で考えられる危険や感染症について
  • 赤ちゃんと犬の同居の7つの注意点

赤ちゃんがいる家庭で犬を飼うときのリスクや注意点をしっかりと理解しましょう。

そして、大切な赤ちゃんと犬が、健康で安全に過ごすことができるような空間を整えてあげましょう。

目次

赤ちゃんのいる家庭で犬を飼うときに考えられる危険にはどんなものがあるの?

赤ちゃんのいる家庭で犬を飼うとなると、犬が赤ちゃんに危害を加えないか、危険な病気を移さないかなど心配に思うことは多々あるでしょう。

赤ちゃんと犬が同居するにあたり、具体的にどんな危険がありうるのかをお伝えします。

赤ちゃんが犬に噛まれたり引っ掻かれたりする危険

赤ちゃんが犬に噛まれたり引っ掻かれたりすることは、赤ちゃんの命にもかかわる危険となります。

実際に、赤ちゃんが犬に噛まれて死亡してしまった悲しい事件も過去に発生しています。

犬にとってはじゃれているだけのつもりでも、皮膚が弱い赤ちゃんにとっては傷が重症化してしまったり、噛み傷や引っ掻き傷が原因で感染症にかかってしまったりする危険性もあります。

犬にとって赤ちゃんの存在がストレスになる危険

小さい子どもが、弟や妹が産まれることにやきもちを焼いて赤ちゃん返りしてしまうという話は聞いたことがある方も多いと思います。

同様に、犬も赤ちゃんが産まれることによって、それまで自分が受けていた愛情を赤ちゃんに奪われてしまったと感じるのか、赤ちゃんの存在がストレスになってしまう場合があります。

ストレスが原因で、それまで大人しかった犬の落ち着きがなくなってしまい、突然赤ちゃんに飛びかかって噛みついてしまったという事例もあります。

犬のフケや毛が原因で赤ちゃんがアレルギーになる危険

ダニやホコリ、動物のフケや毛、花粉などが原因で発症しうるアレルギーとして、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などがあります。

症状は主に、鼻水や鼻づまり、咳やくしゃみですが、重症化すると喘息などを発症することもあります。

犬のフケや毛が原因でアレルギーになってしまう危険や、もともとのアレルギー症状が悪化してしまう危険があります。

犬から赤ちゃんに感染症がうつる危険

犬など、動物から人にうつる感染症を動物由来感染症と言います。

赤ちゃんは大人と比べて病気への免疫・抵抗力が低いです。

よって、犬が感染症の病原体を持っていた場合、この動物由来感染症に感染してしまう可能性や、感染後重症化してしまう可能性が高いため注意が必要です。

具体的な感染症の種類や、症状については次の項目で説明します。

参考

和光堂 / 赤ちゃん通信No.23『乳幼児のいる家庭で「ペットを飼う」』

赤ちゃんにうつらないように注意!犬からうつる感染症の種類や原因とその症状

赤ちゃんのいる家庭で犬を飼うときの危険の一つに、犬から赤ちゃんに感染症がうつってしまうことが挙げられます。

感染症と聞くと怖いですし、特に小さい赤ちゃんへの感染は何としても阻止したいですよね。

犬から赤ちゃんにうつる感染症とは、どのような種類があり、感染原因や症状はどのようなものなのかを説明します。

サルモネラ症

<感染原因>

犬に触った手指などを通して菌が口や鼻から体に入り感染する。(経口感染)

<症状>

下痢、腹痛、発熱など。

サルモネラ症は、サルモネラ菌が腸内に入ることで発症する食中毒症の一つです。

犬など動物以外にも、肉や卵から感染する場合もあるため、一般的によく知られています。

赤ちゃんに感染をすると重症化する危険もある危険な感染症です。

パスツレラ症

<感染原因>

犬に噛まれる、引っ掻かれることにより感染する。

空気中にいる菌を吸い込むことによって感染する。

<症状>

噛まれた部分が赤く腫れたり傷んだりする。

咳など呼吸器への異常や、耳の炎症、鼻水や鼻づまりなどの症状がある。

パスツレラ症の原因となるパスツレラ菌は、健康な犬でも約半数の犬の口内に存在する菌です。

小さい子どもやお年寄り、病気で抵抗力の弱い人が感染しやすいと言われています。

赤ちゃんが犬と過度に接触して噛まれたり引っ掻かれたりすることや、犬のもつ菌が空気中に充満してそれを吸い込むことで感染します。

レプトスピラ症

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<感染原因>

犬の皮膚に触れることによって感染する。(接触感染)

犬に触った手指などを通して菌が口や鼻から体に入り感染する。(経口感染)

<症状>

悪寒、頭痛、筋肉痛、黄疸(おうだん)、蛋白尿(たんぱくにょう)など。

症状がない場合もある。

レプトスピラ症は、ドブネズミが原因で犬や人などほとんどの哺乳類に感染する感染症です。

昭和初期には、多くの人が感染して死亡しましたが、現在はネズミの駆除や衛生環境の改善が進んだため、感染者は大きく減少しています。

赤ちゃんもですが、ペットの犬が感染しないように、犬が不衛生な場所に入り込まないよう注意する必要があります。

瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)

<感染原因>

犬のノミやシラミが、口や鼻から体に入り感染する。(経口感染)

<症状>

子どもに下痢の症状がでることが多い。

症状がない場合もある。

瓜実条虫症は、犬に多い寄生虫の感染症です。

人が寄生虫を食べることで感染するのではなく、感染した犬のノミやシラミが人の体内に入ることで感染します。

瓜実条虫症に感染した犬のノミやシラミがついたカーペットや床を、赤ちゃんが舐めてしまうことなどによって感染します。

狂犬病(きょうけんびょう)

<感染原因>

犬に噛まれることで感染する。

<症状>

鬱(うつ)状態や興奮状態など精神の異常。

体の麻痺や、死亡にいたる場合もある。

狂犬病は、病原を持った犬に噛まれることで、死に至る可能性もある怖い感染症です。

日本では、飼い犬に狂犬病の予防接種を行うことを義務づけることで発症を防いでいるため、国内での発症例はありません。

しかし、海外では感染例があります。

野良犬に噛まれた場合や、海外で犬に噛まれた場合は、すぐに消毒をするなどして対処し、厳重に注意しましょう。

エキノコックス症

<感染原因>

犬の糞便中の菌が人の口や鼻から体に入り感染する。(経口感染)

<症状>

腹痛、黄疸(おうだん)、肝臓が肥大する肝腫大(かんしゅだい)など。

症状がない場合もある。

エキノコックス症は、日本では北海道のキタキツネが感染源の感染症です。

感染した犬の糞便に含まれる虫卵が、手指や食事を通して体内に入ることで、肝臓が機能障害を起こします。

エキノコックスの虫卵がついている可能性のある野生の果物や山菜、川の水などを犬がそのまま食べないように気をつけることが大切です。

参考

日本医師会 『動物由来感染症ハンドブック』

赤ちゃんがいる家庭で犬を飼うときに気をつけるべき7つの注意点

赤ちゃんと犬が同居をすることは、アレルギーや感染症などのさまざまな危険が伴います。

それでは、安全に赤ちゃんと犬が暮らすためには、どんなことに気をつけると良いのでしょうか。

赤ちゃんがいる家庭で犬を飼うときに注意すべきこと7つを紹介します。

犬に予防接種、定期健康診断をしっかりと受けさせる

犬には予防接種を積極的に受けさせて、犬が感染症にかかるのを防ぎましょう。

また、定期的に健康診断を受けさせることで、赤ちゃんにうつると危ない感染症を持っていないか、獣医で診察をしてもらうことも感染症予防にとって重要です。

犬には市販のペットフードを食べさせて、生肉や野生の小動物を食べさせない

生肉や野生の小動物を食べることで、犬が感染症にかかったり、病原体の細菌を持ってしまう可能性があります。

犬が病気にかからないように、市販の安全なペットフードだけを食べさせるようにしましょう。

犬のブラッシングやシャンプーを定期的に行いノミやフケを予防する

犬のノミやフケが原因で赤ちゃんがアレルギー症状を起こしたり、感染症にかかってしまう場合があります。

犬の皮膚をブラッシングやシャンプーで清潔に保ち、ノミやフケ、皮膚への細菌の繁殖を防ぎましょう。

犬に顔を舐めさせたり口移しで餌を与えたりなど、過度なスキンシップをしない

犬からうつる感染症の多くは、経口感染が原因です。

過度なスキンシップで犬から感染症をもらうことがないようにしましょう。

特に赤ちゃんと犬が一緒にいるときは、危険な接触をしないか目を離さないようにしましょう。

犬に触ったら赤ちゃんはもちろん家族も手洗いをする

犬の皮膚や排泄物の細菌を、手や指を通して体内に入れてしまうことがないように、犬を触ったら手を清潔にしましょう。

赤ちゃんが犬を触った場合はもちろんですが、犬を触った家族から赤ちゃんへの細菌の感染も考えられますので、家族も手洗いを徹底することが大切です。

犬の糞はすぐに処理をし、トイレスペースは台所や食事をする場所に置かない

犬の糞から感染する病気も多くあります。糞はなるべくすぐに処理をするのと、台所や食事をする部屋など、経口感染のリスクがある場所には、犬のトイレスペースを置かないようにすると良いです。

赤ちゃんの過ごす部屋は清潔を保ち、 できれば犬と過ごすスペースを分ける

赤ちゃんが感染症のリスクなく健康に過ごすことができるように、赤ちゃんの過ごす部屋はこまめに掃除・換気をして、犬の毛やノミなどを赤ちゃんに触れさせないようにしましょう。

また、犬がストレスなどによって赤ちゃんに噛みついてしまう可能性などもあります。

できれば最初は犬と赤ちゃんの居住スペースは分けて、様子を見て少しずつ慣れさせていくほうが良いでしょう。

参考

和光堂 / 赤ちゃん通信No.23『乳幼児のいる家庭で「ペットを飼う」』

危険だけじゃなくて良いこともある?犬と暮らすことが赤ちゃんの心に与える好影響

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これまで、赤ちゃんと犬が同居するときの危険や注意点をお伝えしてきましたが、もちろん、犬と一緒に過ごすことで赤ちゃんに良い影響も与えるとされています。

下の表からわかるように、一般社団法人ペットフード協会の調べによると、ペットを飼育している子どもは、飼育していない子どもと比べて、「人の痛みがわかる」「おちつきがある」「忍耐力がある」という点で有意差がみられたということです。

犬猫を飼っている子ども ペットを飼っていない家庭
人の痛みがわかる 76.2% 56.9%
おちつきがある 52.4% 36.6%
忍耐力がある 42.9% 36.6%

引用 一般社団法人ペットフード協会『平成22年 全国犬・猫飼育実態調査 結果』より

この他にも、犬を飼っている家庭では、子どもが心豊かに育つ、家族間でのコミュニケーションが増えるなどの良い効果を示す調査はいくつかあります。

しっかりと危険を防ぎ安全に犬と生活を送ることができれば、犬の存在は赤ちゃんの心の成長にとって良い効果を発揮し得るということです。

赤ちゃんと犬の過度な接触や感染症に気をつけて安全で健康な生活を送りましょう!

赤ちゃんと犬が一緒に住むことは、赤ちゃんにアレルギー症状が出たり、感染症がうつったりするなど、気をつけなければいけない危険が伴います。

また、犬にとっても、赤ちゃんの存在がストレスの原因になってしまうこともあります。

しかし、しっかりと危険を防いで赤ちゃんと犬が健やかに過ごすことができれば、犬の存在が赤ちゃんの情緒の発達に良い影響を与えるという調査結果も示されています。

赤ちゃんと犬が、健康で安全に過ごすことができるように、今回紹介した内容を参考に、犬との接し方や住宅環境の改善を是非考えてみてください。