パトー症候群ってどんな病気?特徴・症状・予後と両親の心構え

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妊娠が分かると大きな喜びに包まれます。

妊娠期は何かと心も不安定になり、うれしい反面

「元気な子が生まれてくるかな」

「障害のある子が生まれたらどうしたらいいのだろう」

といった不安を感じることも珍しくありません。

先天性の障害はさまざまな種類がありますが、染色体異常もそのひとつです。

染色体異常というと、ダウン症を思い浮かべる人も多いですよね。

染色体異常にもいくつか種類があり、

・21トリソミー・・・ダウン症
・18トリソミー・・・エドワーズ症候群
・13トリソミー・・・パトー症候群

おもにこの3つが多いとされています。

ここでは13トリソミーである『パトー症候群』にスポットを当てて紹介していきます。

パトー症候群を簡単に説明すると

・先天性の染色体異常の障害
・出生前診断でわかるケースが多い
・継続した治療が必要

といった特徴があります。

パトー症候群と診断された場合、どうしていいのかわからなくなってしまいますよね。

正しい知識を身につけて、生まれてくる赤ちゃんのためにできることを探していきましょう。

パトー症候群とは?

「ダウン症は聞いたことがあるけれど、パトー症候群は初めて聞いた」

という人も多いのではないでしょうか。

実は私もパトー症候群という病気があることは知らず、周りにもパトー症候群のお子さんがいる人はいません。

まずはパトー症候群がどのような病気なのか、詳しく知るところから始めましょう。

パトー症候群は染色体異常の病気

ダウン症も染色体異常の病気ですよね。

パトー症候群も染色体異常の病気のひとつです。

・ダウン症・・・21番目の染色体が1本多く3本ある
・パトー症候群・・・13番目の染色体が1本多く3本ある

このように染色体が多くなっている番号が異なることで、ダウン症やパトー症候群となります。

この疾患を発見したのがパトー博士ということから、『パトー症候群』と呼ばれるようになりました。

パトー症候群は長く生きられない

パトー症候群が聞き慣れない理由のひとつに、出生できない赤ちゃんが多いということが挙げられます。

実は流産の3%ほどがパトー症候群が原因という報告があるのです。

自然流産する確率が高いだけでなく、長く生きることができないケースが多いことも特徴です。

パトー症候群の赤ちゃんは、生後1か月ほどでなくなるケースが80%と多く、1歳までに90%の赤ちゃんが亡くなるといわれています。

生後3か月~4か月で亡くなる赤ちゃんが多いとされていますが、医療の進歩により20歳くらいまで生きた子もいるそうです。

パトー症候群の特徴

ダウン症は見た目の特徴がある病気ですが、パトー症候群にもダウン症のような特徴があるのでしょうか。

パトー症候群の見た目の特徴や起こりやすい合併症について詳しく見ていきましょう。

奇形が起こることも多い

パトー症候群の赤ちゃんは、奇形を持って生まれることも特徴のひとつです。

・口唇口蓋裂
・眼球が小さい
・虹彩欠損
・網膜異常
・まぶたの隆起
・耳の奇形
・指の奇形

これらの奇形のほかにも、

・頭が小さい
・皮膚にくぼみがある
・生殖器の異常
・血管異常
・心臓の奇形

などが見られることもあります。

妊娠中にパトー症候群であるとわかった場合、

・週数の割に胎児が小さい
・羊水が多い、もしくは少ない

などの症状があらわれることもあります。

パトー症候群に起こりやすい症状

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パトー症候群の赤ちゃんは、見た目の奇形や内臓の異常などと合わせて、様々な症状が起こりやすいとされています。

・脳症脳梁欠損
・水頭症
・白内障
・鼻骨低形成
・心室中隔欠損
・動脈管開存症
・異常弁
・横隔膜ヘルニア
・てんかん
・けいれん
・低筋緊張
・無呼吸発作
・難聴
・消化管閉鎖

あらわれる症状は個人差が大きいことも特徴です。

これらに加えて、重度の知的障害があるケースも多いです。

パトー症候群の原因は高齢出産や遺伝って本当?

パトー症候群の赤ちゃんが生まれてくる原因として挙げられるのは、

・高齢出産によるもの
・遺伝的なもの

などが挙げられますが、実ははっきりとした原因はわかっていません。

パトー症候群は偶発的に起こる染色体異常

パトー症候群は、受精卵が細胞分裂をする際に起こる一種の『異常』です。

もし自分の赤ちゃんがパトー症候群の可能性があると診断されたら、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。

しかしお母さんが悪いわけではないのですよ。

細胞分裂がうまくいかなかった、という偶発的なことですから誰にでも起こる可能性があるのです。

高齢出産が原因と言われる理由は?

現在ではパトー症候群のはっきりとした原因はわかっていません。

高齢出産や遺伝が原因なのでは?と思われていましたが、直接的な原因と言い切ることはされていません。

その一方で、高齢が原因ではないと完全に否定もされていないのです。

<女性の年齢と子どもの染色体異常の頻度>

ダウン症の子が生まれる頻度

・25歳・・・0.08%
・30歳・・・0.1%
・35歳・・・0.2%
・40歳・・・0.9%
・45歳・・・3.3%

染色体異常を持つ子が生まれる頻度

・25歳・・・0.2%
・30歳・・・0.2%
・35歳・・・0.5%
・40歳・・・1.5%
・45歳・・・4.7%

(参照:厚生労働省|不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会・関係資料③より)

出産年齢が高くなると同時に、染色体異常を持つ子が生まれる頻度も高くなっていますね。

直接的な原因ははっきりしないものの、完全に否定されないのはこういったデータがあるからなのです。

パトー症候群の検査方法と治療法

パトー症候群の赤ちゃんは、いつどのようにわかり、どのような治療を進めていくのかも気になりますね。

パトー症候群はいつどうやって検査するの?

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パトー症候群の検査は主に『出生前診断』によって判明するケースが多いです。

出生前診断は、妊婦さんの希望で受けることもできるようになりましたよね。

しかしエコーなどによって胎児に何か心配な点があれば、医師から進められるケースもあるようです。

出生前診断は主に、

・胎児スクリーニング検査
・母体血清マーカーテスト
・羊水検査
・絨毛検査

の3つに分けられます。

まずは妊婦さんの血液を採取し、赤ちゃんに異常がないか調べます。

ダウン症など染色体異常のリスクが高いことがわかれば、羊水検査に進む洗濯もできます。

羊水検査をすることで、高い確率で染色体異常が判明するといわれています。

一般的には妊娠17週を過ぎると出生前診断を受けることができますが、家族や医師と十分に相談することが大切です。

検査の費用を知りたい!

出生前診断にはいくらくらいかかるのか、ということも気がかりなポイント。

前の項目で紹介した4つの検査のそれぞれの特徴と費用はこちら。

・胎児スクリーニング検査

費用は2万円~5万円ほど。

通常の妊婦健診で行われるエコーとは別に、胎児に奇形や染色体異常がないか調べます。

妊娠初期と中期に1回ずつ受けることが一般的です。

ただし、現在の日本ではあまり浸透しておらずエコー検査のみというケースがほとんど。

・母体血清マーカーテスト

費用は1万円~2万円ほど。

妊婦さんから血液を採取し、胎児の体に生成されるホルモンの濃度を調べます。

これによって染色体異常があるかどうかがわかります。

母体血清マーカーテストで要請になった場合、羊水検査に進むことも。

・羊水検査

費用は10万円~20万円と高額。

妊婦さんのお腹に針を刺し、羊水を採取して検査をします。

ほぼ100%の確率で染色体異常かどうかがわかる検査です。

精度は高いものの母体と胎児へのリスクがやや高いことから、慎重になる必要があります。

・絨毛検査

費用は10万円~20万円とこちらも高額。

妊婦さんのお腹に針を刺すか、子宮頚部からカテーテルを挿入することで、胎盤から絨毛を採取します。

羊水検査よりも早い時期に行うことができ、こちらもほぼ100%の確率で胎児の異常を発見することができます。

パトー症候群の治療法はある?

もし妊娠中にお腹の中の赤ちゃんがパトー症候群であることが分かった場合、生まれた後の治療法などを必死に探すはずです。

パトー症候群は先天性の病気なので、染色体異常そのものに対する治療法はありません。

先に紹介した様々な症状を緩和する治療が主流となります。

・気管切開
・酸素投与
・胃ろう

赤ちゃんに奇形がある場合は、赤ちゃんが楽になるように奇形部分の手術をすることも。

赤ちゃんに合った手術や治療を行い、少しでも長く生きられるようにサポートすることが基本となります。

パトー症候群だった場合親ができる3つのこと

「もしお腹の赤ちゃんがパトー症候群だったら・・・」

考えるのも嫌になるようなことが実際に起こったら、何から始めていいのかわからなくなってしまいます。

場合によっては妊娠継続を諦めなければいけないこともあるかもしれません。

「それでも赤ちゃんを産みたい!」

「生まれてきた命をできる限りサポートしたい!」

そう考えるお父さん・お母さんがほとんどです。

ここでは赤ちゃんがパトー症候群だった場合、親が赤ちゃんにしてあげられる3つのことを紹介します。

  1. 赤ちゃんに合った治療を見つける
  2. 家族や医師としっかり相談する
  3. 自分を責めない

赤ちゃんに合った治療を行う

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残念ながら、パトー症候群の赤ちゃんは長く生きることが難しい特性を持っています。

特に奇形を持って生まれた赤ちゃんは、症状が急に悪化してしまうことも珍しくないようです。

赤ちゃんが楽に生活できるように、どんな手術を行うのか、どんな治療があっているのかを見極めることが大切です。

家族や医師とこれからについて相談する

急な容態の変化があることもしっかりと把握しておかなければなりません。

・できる限りの延命措置をするのか
・無理な延命措置はせずに自然に任せるのか

まずはこの2点を家族でしっかりと話し合っておく必要があります。

同じ方向を向いて赤ちゃんをサポートすることを前提に、主治医ともどのように治療を進めていくのか話し合っておきましょう。

絶対に自分を責めないで!

パトー症候群を含め、様々な障害を持って生まれた赤ちゃんのご両親は、自分を責めてしまいがちです。

私の知り合いにも発達障害の子がいますが、やはり初めは自分を責めていたそうです。

中にはタバコやお酒が原因で障害を持って生まれる子はいます。

しかし染色体異常など先天性の異常は、親が原因であることはほとんどありません。

自分を責めることはせず、今目の前にいる赤ちゃんをたっぷり愛してあげることだけを考えてくださいね。

各自治体には、障害のある子をサポートする団体やサークルもあります。

そういった集まりに参加してみるのもいいかもしれませんね。

まとめ

染色体異常のひとつ『パトー症候群』は、

・見た目の奇形や内臓の奇形があるケースがある
・長く生きることが難しい
・遺伝や高齢出産はあまり関係ない
・出生前診断で知ることができる

などが特徴です。

パトー症候群には正しい治療法というものはありません。

赤ちゃんのため、家族のためにどのような治療が自分たちに合っているのか、それが一番大切です。

染色体の異常は治療することも予防することも難しいです。

受け入れることはなかなか難しいかもしれませんが、しっかりと受け止めどうするかを家族で話し合うことから始めましょう。