妊婦は高血圧の薬を飲んじゃダメ?妊娠中の高血圧3つの予防策

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妊娠中毒症をご存知でしょうか?

以前は妊娠中のむくみや高血圧、尿淡白などの症状が出ると「妊娠中毒症」と言われ、妊婦さん自身や胎児に悪影響が出ないよう生活習慣の改善を医師から指導されていました。

しかし最近は、むくみや尿タンパクではなく高血圧が大きな問題になることが分かってきています。

そして妊娠中毒ではなく「妊娠高血圧症候群」といわれるようになりました。

この記事では、妊婦さんの高血圧の原因やリスク、注意したい人や3つの予防策について次のようにまとめました。

・妊娠中でも飲める高血圧の薬はある
・妊婦が高血圧になると母と子両方に高いリスクがある
・高血圧になりやすい妊婦さんは、高齢、肥満、高血圧の近親者がいる人
・高血圧になる原因
・高血圧にならないための3つの予防策

妊娠中でも飲むことができる高血圧の薬はありますが、できれば高血圧にならないようにしたいもの!

では、ひとつずつ見ていきましょう。

妊娠中でも飲める高血圧の薬はある

まず、血圧とは血液が流れる時に血管にかかる圧力のこと。

この圧力は次のような2種類の数字で表されます。

・収縮期血圧:心臓がギュッと縮んで血液を送り出した時の圧力
・拡張期血圧:心臓が広がった時の圧力

収縮期血圧が140mmHg未満、拡張期血圧が90mmHg未満。
これが正常な血圧で、どちらかが超えていると高血圧になります。

(参考:高血圧治療ガイドライン|日本高血圧学会

妊娠前や妊娠初期には血圧が正常だったのに、妊娠中期以降に高血圧になることがあります。

それは「妊娠高血圧症候群」と言われ、出産まで十分な注意が必要になります。

妊娠前から高血圧だったり、妊娠20週になるまでに高血圧になったりした場合は「高血圧合併妊娠」と言われます。

高血圧になると血圧をコントロールする必要がありますが、妊娠中でも飲める薬はあります。

妊娠前から血圧の薬を飲んでいる方はお手元の薬を持って医師に相談してください。

高血圧で、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬、β受容体拮抗薬(ブロッカー)と言われる種類の薬を飲んでいる妊婦さんの場合には、お薬の変更が必要です.妊娠中に使われる降圧剤としては、メチルドーパやαβブロッカー、Caブロッカーと言われる種類の薬が一般的です。

(引用元:日本妊娠高血圧学会

妊娠中は自己判断で薬をストップしたり変えたりせず、必ず医師に相談して判断を仰ぐようにしてくださいね。

妊婦が高血圧になると母と子両方に高いリスクがある

以前は、妊娠してからむくみ・高血圧・尿タンパクといった症状がみられると「妊娠中毒症」と言われ、リスクが高いお産になると言われていました。

ですが、最近は、むくみや尿タンパクがあっても高血圧でないなら大丈夫だと分かってきました。

高血圧が重要なポイントで、妊婦さんが高血圧になると、次のようなリスクがあります。

胎児の発育不全

妊婦さんが高血圧になると、子宮や胎盤の血液の流れが悪くなってしまい、胎児に十分な量の酸素と栄養が届かなくなります。

この結果、胎児の成長が遅れたり、酸素不足で心臓や脳に異常が出ることも。

最悪の場合は、胎児がお腹の中で死亡するケースもあります。

子癇

子癇というのは、いわゆる痙攣発作で、病気や薬物中毒などが原因ではないもののこと。

子癇は「急激におこった高血圧によって脳の中の血液が増え、脳の中にむくみが起きて、けいれんを起こす」と考えられています。

子癇が治まらない場合は、脳のむくみが進行して脳ヘルニアという状態を来し、赤ちゃんのみではなく、お母さんの命も危なくなる状態に陥ってしまいます。

(引用元:日本妊娠高血圧学会

この発作は妊娠中だけでなく、お産の最中や、産後にも起こることがあります。

いつ発作が起こるか分からない上に、発作が起こると迅速かつ適切な処置しなければ、脳内出血などのリスクもある恐ろしいもの。

できる限り避けたい症状です。

HELLP症候群

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HELLP症候群は血液の中の赤血球が壊れ、肝臓の機能が悪くなって、血小板という血液成分が減ってしまう病気。

妊娠後期~産後に発生しやすいと言われています。

治療が遅れると血液が固まらなくなったり、体中の臓器の機能が落ちたりして命の危険も!

重症化した場合は、胎児の発育や命にも悪影響が出るので帝王切開になることもあります。

常位胎盤早期剥離

これは、子宮の正常な場所に作られている胎盤が、出産前に剥がれてしまうこと。

どんな妊婦さんにも起こりえますが、高血圧の妊婦さんに多いと言われています。

原因は不明ですが、胎盤の剥がれ具合によって処置内容が変わります。

経過を観察するだけで済むこともあれば、帝王切開で早期に出産しなければならなかったり、最悪の場合は子宮を摘出するケースも。

高血圧の妊婦さんで、出血があったり強い腹痛がある場合は必ず医師に診てもらってくださいね。

高血圧になりやすい妊婦さんは高齢、肥満、高血圧の近親者がいる人

妊娠中の高血圧はリスクが高いのですが、特に注意すべき人がいます。

・妊娠した時の年齢が35歳以上(40歳以上になるとリスクがさらにアップ)
・BMI値が25以上
・血縁者に高血圧の人がいる
・以前の妊娠中に高血圧になった

以上4つのうち、どれかひとつでも当てはまる方は要注意!

家庭で簡単に血圧を測れる血圧計がありますし、病院・産婦人科・薬局などで気軽に血圧を測ることができます。

できれば定期的に血圧を測って記録し、血圧が高めと感じたら医師に相談しましょう。

高血圧になる原因

高血圧になる理由は色々指摘されていますが、妊娠高血圧症候群になる確実な原因は分かっていません。

ただ、胎盤がうまく作られなかった場合に高血圧になる可能性が指摘されています。

胎盤の血管が正常に作られなかった場合、十分な量の血液が胎児に届かないため妊婦さんの体は「血圧を上げて血液をたくさん送り、酸素と栄養を届けよう!」とします。

このため、血圧が上がってしまうのです。

他にも、塩分の多い食事を取り続けていると血液の中のナトリウム濃度がアップ!

一定量まではナトリウムが増えてもカリウムが働いて血液中のナトリウム濃度を調節してくれます。

しかし、それが間に合わなくなると血液の量を増やして濃度を一定に保とうとします。

血液の量が増えると血管にかかる圧力が高くなってしまって高血圧に。

他にも、BMI値が25以上の肥満(特に内臓脂肪が多い肥満)も高血圧の原因。

お腹の中の脂肪細胞から血圧を上げてしまう成分が分泌されるので、脂肪を減らさなければなりません。

妊婦さんが高血圧になる理由は、胎盤が上手く作られていない、塩分の取りすぎ、肥満などが考えられます。

高血圧にならないための3つの予防策

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高血圧になる理由のうち、胎盤が上手く作られていない、というのは妊婦さん自身の努力で改善できるものではありません。

この場合は、産婦人科医と相談し、こまめに産婦人科に通ったり、妊娠中の体調チェックを十分に行うなどして経過を注意深く観察してください。

胎盤以外であれば、次の3つの予防策が有効です。

禁煙・アルコールを止める

まず、妊婦さんの喫煙やアルコールは厳禁です!

これを徹底することで、血管が急激に収縮するのを防いだり、血管が傷付くのも防げます。

血管の収縮や傷は血圧が上がる原因になりますので、絶対に止めてくださいね。

バランスのとれた食事と運動

妊娠中は激しい運動は難しいですよね。

しかし医師から絶対安静を指示されている人以外は、可能な範囲で運動が必要です。バランスが取れた食事と運動で肥満を予防しましょう。

特にBMI値が高めの方は、体に付いている脂肪細胞を減らして高血圧のリスクを減らしていきましょう。

カロリー過多にならないよう食事のバランスを考え、ウォーキングやマタニティ・スイミングなど、無理のない程度に体を動かしてBMI値を25未満にしてくださいね。

妊娠する前にBMI値を25未満に落とし、高血圧を予防しておくのが理想です。

1日の摂取塩分量を6g以下に抑える

血圧は塩分と深い関係があることが知られています。

塩分が多い食事を取ると血液の中のナトリウム濃度が高くなってしまい、高血圧の原因になってしまいます。

私たち日本人は味噌やしょう油、漬け物、干物など塩をよく使います。

1日に摂取する塩分の量は約10g前後。

欧米では「1日の摂取量を6g未満にするのが目標」と言われています。

かなりオーバーしていますよね。

高血圧を予防するには、1日に摂取する食塩の量を6g以下に抑えたいもの!

1食当たりの摂取塩分量が2g以下にするのが理想です。

コツは食材を選ぶときに加工食品を減らすこと。

そうすれば、摂取する塩分を減らすことができますよ。

<加工食品中の塩分>
あじの干物           1枚        1.7g
塩鯖                          1切れ     2.7g
甘塩鮭                     1人前 2.1g
ソーセージ           1本 0.5g
ちくわ                     1本 0.6g
うどん                     1食 0.7g
ロールパン           2つ 0.8g
(参考:食品に含まれる塩分量を知りましょう|飯豊町役場

このように加工食品を選ぶと塩分が多くなってしまいます。

ですから、加工されていない魚・肉・野菜を買って来て料理し、調味料も少なめにして素材の味を楽しむといいですよ。

ワサビ・レモン・酢・シソ・ミョウガといった刺激のあるもの、香味野菜、酸味で味を助けたり、昆布・煮干し・鰹節などのダシを活用したりして味付けを工夫するのもおすすめ!

ちょっと気を配るだけで減塩食が実現できるので、配慮してみてくださいね。

妊娠中は高血圧に気を付けよう

妊娠高血圧症候群という言葉があるように、妊娠中に血圧が高くなってしまうことがあります。

もともと血圧が高め、35歳以上で妊娠、肥満、高血圧の血縁者がいる、胎盤の形成が上手くいかなかったなど、妊娠中に高血圧になる原因は色々。

妊娠中の高血圧は妊婦さんだけでなく胎児にも成長が遅れたり、早産に繋がったり、最悪の場合は命の危機に瀕するような重大な事態に発展することも!

禁煙・アルコールを止めて血管が収縮したり傷付くのを止め、バランスがいい食事と運動で肥満を予防し、減塩食で予防しましょう。

妊娠中に高血圧になっても飲める薬はありますが、妊娠をきっかけに食事や運動などの生活習慣を見直すなどして、高血圧にならないよう配慮してくださいね。