妊婦はトキソプラズマ症に注意!妊娠中のトキソプラズマの影響と8つの予防策

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『トキソプラズマ症』という感染症を耳にしたことがありますか?

妊娠中は色々な事が気がかりになり、沢山の情報に過敏になってしまいがちです。

赤ちゃんのために正しい情報を身につけて、トキソプラズマ症に感染しないように予防策や解決策を学んでおきましょう!

絶対に知っておきたい!妊婦とトキソプラズマ症

トキソプラズマ症とは、トキソプラズマという原虫によって起こされる感染症です。

妊婦がトキソプラズマ原虫に感染すると、先天性トキソプラズマ症となり、流産や死産の可能性があるだけでなく、胎児に水頭症、精神運動機能障害などの重篤な症状を引き起こす危険があります。

日本人の妊婦の中でトキソプラズマ抗体を持っている母体は2%~10%(地域によって差があります。)とても少ないですよね。

妊娠前に感染していたなら、胎児への感染は心配ありません。

しかし、トキソプラズマについては、妊婦の方の認知度が非常に低い事が問題視されています。

「知らないうちに感染していた」という事が多いので、妊娠をきっかけにトキソプラズマに関しての正しい知識を身につけておきましょう。

自身が感染した事があるかどうかは医療機関での検査で分かりますので、心配な方は検査を受けてくださいね。

参考元:国立感染症研究所/トキソプラズマとは

妊婦のトキソプラズマ症の症状

妊娠していない人がトキソプラズマに感染した場合、症状はほとんど出ない場合が多いです。

8割は症状が出ず、残りの2割が下記のような症状が出て、その後2週間程で回復します。

  • 発熱
  • リンパの腫れ
  • 疲労感
  • 筋肉痛
  • 黄疸
  • 貧血
  • 血小板減少
  • 肝機能障害

ただし妊婦の場合は、免疫機能が低下しているので、重症化する可能性が高いので注意が必要です。

さらに、胎盤を通して胎児へ感染すると、水頭症や精神運動機能障害などの重篤な病気を引き起こす可能性があるので、妊娠中は感染予防をきちんと行っていきましょうね。

妊婦のトキソプラズマ症の感染の原因とは?

トキソプラズマはネコ科の動物の体内で形成されて、室温では数日間、4℃の温度環境では数か月間、消滅しません。

感染の原因となるのは、以下5つの行動が挙げられます。

  1. 飼い猫のトイレ掃除で糞に触れる
  2. 未加熱や加熱が不十分な食肉を食べる
  3. 園芸で土に触れる
  4. 砂遊びで土に触れる
  5. 洗浄が不十分な果物や野菜類を食べる

ネコの糞に汚染された可能性のある土をいじると、トキソプラズマ症に感染する可能性がありますので、注意してください。

同じように、飼い猫のトイレ掃除も危険が伴うので、妊娠期間中は他の人に代わってもらうなどの工夫をしましょう。

どうしても処理をしなければいけない場合は、必ずマスクやグローブを着用してから行ってください。

食品なら加熱できるものは加熱を、できないものはきちんと洗い流すようにしてくださいね。

妊婦のトキソプラズマの8つの予防策

前項で、感染の原因がこんなにあるの?と驚いたかたも多いでしょう。

現代では人へのトキソプラズマ感染を防ぐワクチンはありません。

予防をする他に策はありませんので、ご自身や赤ちゃんの為にもきちんと正しい予防策を把握しておきましょうね。

まずは検査を!

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予防策を実行する前に、まずは妊婦検診にてトキソプラズマに感染しているかを確認してもらいましょう。

トキソプラズマ症は症状がわかりづらいことがあり、妊娠前に気付かぬうちに感染している可能性もあります。

妊娠したら検診でしっかりと自分の体の状態を把握しておきましょう。

~トキソプラズマ症の8つの予防策~

それでは順に見ていきましょう。

①水道水は飲まない

飲料水以外(生水等)は飲まないようにしましょう。

②食材を洗浄をする

生肉、野菜、果実に触った後は洗剤を使い、しっかりと洗い流すようにしましょう。

③加熱をしっかりと行う

生肉などの生ものは十分に加熱してください。

④調理器具は清潔に保つ

生ものを調理したまな板や包丁などの調理器具は、その都度よく洗浄して他の食材に使いまわさないようにしましょう。

⑤飼い猫との接触は注意深く行う

野良猫との接触は避けて、飼い猫は室内で飼うようにしてくださいね。

エサはキャットフード(ドライフード)にして、妊婦が口にする食べ物に近づけないようにしましょう。

⑥飼い猫の便の処理はしない

猫の便の処理を行わないようにしましょう。

どうしてもご自身で行わなければならない場合は手袋をつけ、猫が便をした後はすぐに処理をするようにしてください。

処理後は手洗いをしっかり行って清潔にしてくださいね。

(きちんと対策をしていれば感染リスクは非常に低いので、妊娠をきっかけに飼い猫を捨てるという事はしないで下さいね。)

⑦手で直接、土を触らない

ガーデニングをする方は手袋をして、土を触った後はなるべく温水と洗剤で洗い流すようにしてくださいね。

⑧子供に手洗い指導をする

家庭内にお子さんがいる場合は、手洗いの重要性を教えておきましょう。

注意したい食品と滅菌処理方法について

肉類は十分に加熱してから食べるようにしましょう。

加熱処理は中心が67℃以上になるまで、凍結処理はマイナス12℃になるまで凍結することが有効とされています。

以下の食品は加熱が不十分なので注意しましょう。

  • ユッケ
  • 牛トロ
  • 馬刺し
  • レバ刺し
  • 生肉全般
  • 生ハム
  • 生サラミ
  • 動物の肉を使った料理

ここで注意したいのは、自宅での加熱方法です。

電子レンジによる加熱では十分な加熱処理ができないことがあります。

また、冷蔵庫で冷やしただけではトキソプラズマの感染を防ぐことはできませんので気を付けましょうね。

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妊婦がトキソプラズマ症に感染した時の母体への影響

2013年から2015年の厚生科学研究による調査結果では、トキソプラズマの抗体を持っている妊婦の割合は6.1%でした。

抗体を持っている妊婦は少なく、実際に感染しても母体に症状がないことがほとんどです。

しかし、感染すると母体よりも胎児への影響が大きく、重篤な症状を引き起こす可能性があります。

しっかりと抗体検査を行って、トキソプラズマに感染していないかを確認することが大切です。

また、胎児への感染リスクを減らすためにも、感染源となる食べ物などには気をつけてくださいね。

関連記事⇒胎児スクリーニングって何?費用や検査内容と5つのわかること

妊婦が感染した場合、胎児に感染する確率は?

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妊婦がトキソプラズマに感染し出産した場合、産まれてすぐに症状が出なくても、何年か経ってから症状が現れる事があるので注意が必要です。

日本で、年間1,000人~10,000人の妊娠中に初感染をした妊婦から、先天性トキソプラズマ症を患い産まれてくる子供は、年間約130人から1300人と推計されています。

実は胎児が感染する確率は、母体の感染時期によって異なります。

具体的な数字でいうと、以下の通りです。

~感染時期による胎児感染率と症状~

感染時期 胎児感染率 症状
妊娠の6か月以上前
妊娠14週以前 10%以下 流早産、死産、重症度が高い
妊娠15~30週 約20% 不顕症や軽度症状
妊娠31週以降 60~70% 不顕症が多い、顕性でも軽度

引用元:日本医療研究開発機構/トキソプラズマ妊娠管理マニュアル

妊娠周期が進むに連れて、胎児の感染率が高くなっていることがわかりますね。

先天性トキソプラズマ症による胎児への影響

妊婦がトキソプラズマに初感染した場合、胎盤を通って胎児に感染してしまう事もあります。

重症化するのは、妊娠初期です。

妊娠後期になるに連れて、胎児への感染率は上がりますが、妊娠初期よりは重症化しにくい傾向にあります。

  • 妊娠初期に感染するほど感染率は低く、症状は重度
  • 妊娠後期に感染するほど感染率は高く、症状は軽度

どちらにしても妊娠中にトキソプラズマ症に感染するのは、非常に危険ですので注意したいですね。

母体から胎盤を通して胎児へ感染した場合には以下のような症状が出る可能性があげられますので知っておきましょうね。

【胎児・新生児期】

  • 水頭症
  • 脳内石灰化
  • 小頭症
  • 網脈絡膜炎
  • 小眼球症
  • 精神神経・運動障害
  • 肝脾腫

胎盤には防御する働きがあるので、ある程度は胎盤前で阻止されています。

感染したからといって、必ず重篤な病気になるというわけでもありません。

ストレスは胎児にも良い影響を与えませんので、心配しすぎないで下さいね。

眼トキソプラズマ症とは?

先天性トキソプラズマ症の再活性化で発症する事が多くあります。

産まれてきてから感染した場合の発症率は非常にまれですが、眼痛や視力障害などが生じる事があります。

リラックスして過ごしましょう

きちんとした予防法を知っておくことで、感染する可能性は低くなります。

万が一感染した時でも医療機関で治療を行えば発症しない事もありますので、過度な心配はしないようにしてくださいね。

トキソプラズマ症などの感染症は、頭の隅に置いておき、常日頃から対策をしていきましょう。

無理せずリラックスをして、マタニティライフを楽しみましょうね!